内側からはずむ肌!最強のうるおい成分セラミドは食べ物からも補える?
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高保湿成分の王様として知られるセラミドは、最近多くのスキンケアなどに使用されるようになってきました。みなさんもよくセラミドという成分名を目にするようになっているのではないでしょうか。
冬など肌の乾燥が気になる季節は、化粧品だけでなくさまざまなものにセラミドが配合されていますね。ただ、ポイントになるのが「高品質なセラミドを配合しているスキンケアは比較的値段もお高め」ということではないでしょうか。
そこで、セラミドを化粧品以外でも増やせる方法はないか、調べてみました。食べ物や飲み物、さらに入浴剤など、セラミドをもっと手軽に、もちろん健康的に増やせる方法をご紹介していきます。
目次
セラミドってどんな成分?
まずはセラミドがどんな成分なのかを改めてご紹介します。セラミドは私たちの皮膚にとって、そして私たちの健康維持にとって欠かせない成分のひとつです。
セラミドは細胞間脂質のひとつ
セラミドは比較的最近になって研究が進められるようになった成分です。セラミドは体内にあるさまざまな細胞の細胞膜に存在する脂質、つまり油分の一種です。スフィンゴ脂質と呼ばれる脂質の総称で、いろいろな種類があります。
特にセラミドが注目を集めているのは角質層に存在する角質細胞間脂質としてのセラミドです。
角質層でのセラミドの役割
角質層は核を失って細胞分裂できなくなった角層細胞が積み重なってできています。たった0.02mmしかないのですが、その間には10程度の層が存在しています。そこには積み重なった細胞と、その間を埋める細胞間脂質があり、そこでセラミドが保湿成分としての役割を果たしています。角質細胞間脂質の5割を占めるセラミドは、角質細胞間脂質の中でも「油分でありながら親水性も持っている」という不思議な性質の持ち主です。
そのため、敷き詰められたセラミドとセラミドの間にしっかり水分をはさみこみ、ラメラ構造という水のサンドウィッチ構造を作り出して、肌のうるおいを守っています。
角質層に存在する保湿成分
角質層には角質細胞間脂質のほかに、角層細胞内にある天然保湿因子という保湿成分も存在しています。天然保湿因子にはアミノ酸などの成分が含まれていて、やはり保湿成分として働きます。
さらに角質層の上には、汗と皮脂が混ざってできた皮脂膜という油性のクリーム状膜が広がっています。これがエモリエント効果を発揮して、肌を乾燥から守っています。
角質層には3つの保湿成分が存在しており、それぞれがさまざまな力を発揮して肌を乾燥から守っているのです。
セラミドはどうやって生まれるの?
では角質層のセラミドはどこからやってくるのでしょうか。セラミドは、角層細胞が核を失う前、表皮にいたころに生まれます。
表皮では肌が常に新陳代謝、つまりターンオーバーを行っています。底から新しい細胞が生まれ、上に上がるほど扁平な形になっていくと同時に、内部でもどんどん変化が起こっていきます。最終的に細胞内部でセラミドなど角質細胞間脂質と天然保湿因子の粒が作られ、それが角質層に届いたときに外にはじき出されます。これが細胞間や角層細胞の中で活躍する保湿成分になるのです。
ヒトにはセラミドが存在するのにどうして乾燥肌になるの?
ヒトの皮膚にはセラミドのような角質細胞間脂質のほかに、角層細胞の中の天然保湿因子、肌表面を覆う皮脂膜など、さまざまなうるおいの盾があります。それなのに乾燥肌に悩む女性が多いのはなぜなのでしょうか。
①年齢にともなって保湿成分が減ってくる
年齢に伴って、皮膚のセラミドや皮脂の分泌、弾力成分コラーゲンなどがどんどん減っていきます。そのため保湿力も低下してしまうのです。
②過度の洗顔や間違ったスキンケア
強い刺激の洗顔料で毎日何度も洗ったり、水分を油分でしっかり閉じ込めるようなスキンケアを怠っていると、肌表面のうるおい成分が損なわれて乾燥肌になってしまいます。
③環境の乾燥
夏はクーラー、冬は暖房と、一年中エアコンのお世話になっていますよね。また外気も乾燥しています。こういった乾燥状態の中にいると、どんどん肌の水分も奪われていきます。
④女性の生活習慣の乱れ
生活習慣や食生活習慣の乱れ、ストレス、過労、睡眠の質の低下などが原因で、肌の生まれ変わりサイクルであるターンオーバーが乱れてしまうと、保湿力が未熟なままになってしまいます。
セラミド不足はどうやって解消するの?
現在、セラミド不足は主に身体の外から美容液や保湿クリームなどで補給する女性が多数派です。セラミドはもともと身体に存在する成分ですが、人体とまったく同じ性質のものを使用しているスキンケア商品はそれなりのお値段になります。
また化学的に合成されたセラミドや動物、植物などから抽出されたセラミドによく似た性質を持つ成分を配合しているものもたくさんあります。
しかしセラミドだけが肌のうるおいをキープしているわけではなく、他の成分とのバランスが重要と言われています。乾燥肌はセラミドをプラスしただけですぐに良くなる、というわけではありません。
皮膚の表面にある角質層に存在するセラミドですが、年齢とともに、そしてさまざまな要因でどんどん減ってしまいます。食い止めるためにもっとも手軽なのは、セラミドが配合されている保湿スキンケアを使用することです。
※しかしそれですべての乾燥肌が解消するわけではありません。
セラミド以外にも存在する保湿成分
スキンケア商品などには、セラミド以外にもいろいろな保湿成分が使用されています。どんなものが存在するのでしょうか。
保湿成分は性質によって保湿力が違ってくる
保湿成分は、大きく3つの性質に分けられます。
1, 水を挟み込んで逃さない性質
2, 水分を抱え込む力が大きい性質
3, 水分を吸着する性質
もっとも保湿力が高いのは、サンドウィッチのように水分を挟み込む性質を持つ保湿成分です。
・セラミド
・スフィンゴ脂質(セラミドの仲間)
・レシチン
・ステアリン酸コレステロール 等
次に保湿力が高いのは、水分を抱え込む水分含有量の高いものです。たとえばヒアルロン酸はゼリー状になることで1gで6Lもの水を含むことができます。
・ヒアルロン酸
・コラーゲン
・プロテオグリカン 等
最後に、水分を吸着する性質を持つものが挙げられます。天然保湿因子に含まれる成分などが挙げられます。
・アミノ酸
・尿素
・グリセリン
・天然保湿因子 等
セラミドは、これらのさまざまな保湿成分の中でも特に保湿力が高い、「保湿成分の王様」と呼べる存在なのです。
エモリエント成分の違いと働き
「エモリエント効果」というものもあります。エモリエント効果とは水分を補給する効果ではなく、水分の蒸発を防ぐ「油分の膜」を張る効果のことです。
エモリエント効果を持つ成分自身は水分を持つことはできないのですが、水分を含んだ肌の上に膜を張ることで、水分の蒸発を防ぎます。
素肌で言うと皮脂膜がその役目を担っています。セラミドや天然保湿因子が含む水分を、油分の膜で覆って逃がさないようにする役割です。
エモリエント成分として使用されているものはこういった成分です。
・スクワラン
・ワセリン
・植物性オイル 等
またセラミドや天然保湿因子などもエモリエント効果を持っています。
保湿成分と呼ばれるものはいろいろありますが、その性質によって持っている保湿力や役割が違います。スキンケアに使用されている保湿成分がどんな働きを持ち、どれくらい保湿力が高いものなのか、チェックしてから購入するようにすると良いですね。
セラミドって食べ物や飲み物からも補給できるの?
それでは、セラミドは食べ物や飲み物からも補給できるのでしょうか。どんどん減っていくセラミドを補うために、セラミドを補給する方法をチェックしてみましょう。
セラミドは年齢とともにどれくらい減ってしまうの?
セラミドは20歳代をピークに年々減少していきます。20歳が100としたら、ピンチ肌世代の40歳代にはなんと50%にまで減少してしまうのです。もちろん高齢になるほど減り続けていきます。
セラミドを食べるとセラミドになるの?
セラミドを食べるとセラミドになるかどうかというと、それはちょっと難しい問題です。たとえばコラーゲンを例に挙げてみましょう。コラーゲンのかたまりである豚などの動物のゼラチンをそのまま食べても、コラーゲンにはなりません。食べたコラーゲンが簡単にコラーゲンになるなら、シワで悩む女性はいなくなってしまいますよね。
食べたものは一度体内で消化され、コラーゲンであればタンパク質なのでアミノ酸に分解されます。それから、再度さまざまなタンパク質に再合成されます。
コラーゲンに再合成されるとは限りません。しかし最近では、コラーゲンをより小さな分子に分解したコラーゲンペプチドなどのかたちで食べることで、アミノ酸にまで分解したコラーゲンをもう一度コラーゲンへ再合成する可能性が高まるという研究が進んでいるようです。
実はセラミドをそのまま食べて、もう一度身体の中でセラミドになるかどうかはまだ科学的に解明されていません。
だからといって、「セラミドは食べて補給するよりも、スキンケアで補給した方が絶対に良い」とは言い切れないのです。
化学的根拠がまだ見つかっていないというだけで、セラミドに関することはこれから研究が進み、明らかになっていくことです。
研究ではセラミドのサプリメントで保湿力や美白作用がアップすることもある、という結果も一部出ているようです。
しかし、本当に効果的な結果が得られるかどうかは、今後の研究に期待することになりそうです。
セラミドを含むものもバランスよく食べることが美肌への近道
またセラミドには、当然のことながら「セラミドを体内で合成するための原料」が含まれています。
またセラミドやコラーゲンを含め、さまざまな成分をいろいろな食物から摂取することで、バランスよく栄養素をとることができるようになります。
実はセラミドはポリフェノールやカテキン、リコピン、アスタキサンチン、アントシアニン、クルクミンなど、植物の色素や香りなどの成分「フィトケミカル」の一種に含まれています。
つまりセラミドを積極的に食べるということは、さまざまな色の野菜や植物をバランスよく食べることにつながるのです。
食べ物にはスフィンゴ脂質の一種、グルコシルセラミドというセラミドの原料の状態で存在しています。多く含まれているのはこういった食材です。
コンニャク・黒豆・ひじき・コーヒー・黒コショウ・黒ゴマ・ごぼう・そば・米ぬか・小麦胚芽・あずき
黒っぽいもの、色が濃いものに多く含まれていることが分かりますね。特にコンニャクには非常にたくさんのセラミドが含まれています。
一方、赤や緑が美しい緑黄色野菜のフィトケミカルには強い抗酸化作用を持つものが多く、一緒に摂取することで活性酸素を除去しセラミドの合成をサポートすることが期待できます。
またタマネギや白菜、カリフラワー、里芋のような白い野菜には血行促進効果があります。カラフルな野菜に加えて白い野菜を食べることで、素肌の健康やターンオーバーに欠かせない、めぐりの良さも手に入れることができるのです。
また白いものでは牛乳にもセラミドが含まれており、ミルクセラミドと呼ばれて注目されはじめています。
セラミドを含むものは、直接的にセラミドに変換されるかどうかまだわかっていません。でも、セラミドを含む食べ物は確実に素肌の健康に関わってきます。
セラミドを食べても即セラミドが増えるわけではありません。でもセラミドを含む黒っぽい食材、緑黄色野菜、白っぽい野菜とカラフルな食事を摂ることで、セラミドの合成や肌の健康に役立つと言えます。もちろん、全身の美容と健康にも役立ちます。
セラミドを全身の皮膚に補給したいときは?
乾燥が気になるのは顔だけではありません。冬など、全身のお肌がカサカサになってしまうこともありますよね。そんな時はどうすれば良いのでしょうか。
セラミド配合の入浴剤を入れたお風呂につかろう!
そんなときは、セラミドを配合した入浴剤を使ってみましょう。セラミドを配合した入浴剤のお風呂なら、乾燥肌になりやすい子どもからお年寄りまで簡単に全身の保湿ケアができます。
お風呂は40度前後の優しい温度に設定し、長くても15分以上つからないようにしましょう。それ以上だと乾燥肌が悪化してしまいます。
お風呂から出たらボディミルクやクリームでケア
お風呂から出て優しくタオルで水分をオフしたら、3分以内に急いでボディミルクやクリームを全身に塗って、水分の蒸発を防ぎましょう。お風呂上りはとても肌が乾燥しやすいので、せっかく湯船のお湯で補給したセラミドも逃してしまいかねません。乾燥でかゆくなる季節は特に急いで保湿ケアをしてあげましょう。
簡単に全身のセラミド保湿がしたいときは、セラミド配合の入浴剤を使ってみましょう。乾燥肌でつらい家族がいる場合もおすすめです。湿疹などがある場合は皮膚科医に相談してみてくださいね。
セラミドは肌から、そしてカラフルな食事で補給しよう
セラミドは基本的にスキンケアで肌から補給することが、現在の定番です。でもカラフルな食事でもセラミドの原料となるグルコシルセラミドや、セラミドの合成に関わる抗酸化物質・血液サラサラ成分などが補給できます。これらの食材がセラミド合成に直結するわけではありませんが、いずれも素肌や身体の健康に関わる成分を豊富に含んでいます。バランスよく彩りの良い食事をとることで、肌も身体も、そして心も元気にしていきたいですね。